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冷凍海鮮の解凍法

  • Lesson 008
冷凍海鮮具材を美味しく解凍して、その後の料理を “ひと味” グレードアップさせます。

1 ”シーフードミックス”の場合

冷凍シーフードミックスの解凍方法については、メーカーにより説明が異なりますが、諸説を紐解いた結論は次のとおりです。

(1)解凍方法
  ア 氷水(約0℃)250ccに塩小さじ1.5、重曹小さじ1.5を加えて溶かし解凍液を作ります(素材が浸るだけの解凍液が要るので、同比率で適宜増量して下さい。例えば、氷水500ccなら塩大さじ1、重曹大さじ1です)。
  イ ボウルにシーフードミックスを入れ、これが浸る量の解凍液を加えて約20分置いた後、解凍液を切ってからペーパータオルで優しく(具材を潰さないように)拭き取ります。
  ウ 解凍液の効果により、シーフードミックスには既に塩分が吸収されているので、調理は塩分を控えめに短時間で仕上げます。

(2)科学的な説明
ア 塩を加える理由
冷凍海鮮は、海鮮を茹でて塩水にくぐらせてから急冷しています(”酸化”及び”冷凍焼け”防止のため)。これを、水に入れると浸透圧の原理から塩分濃度の高い具材から塩分濃度の低い水に、塩分とともに具材の旨味が溶け出して(逃げて)しまいます。したがって、解凍液に塩分濃度を与えて旨味の流出を防ぎます。
イ 重曹を加える理由
重曹には蛋白質を固くする効果があるので、解凍液に塩のみでなく重曹を加えることで、具材の外側を固化し、その保水性を上げ、プリッとした食感を作ることが出来ます。
なお、シーフードミックスは予め茹でてあるので、2(4)の食中毒菌の心配は極めて小さいと考えられます。ただし、メーカーにより “要加熱” と “加熱不要” の商品に分かれる(【参考】メーカー別「シーフードミックス」比較/後述)ので “要加熱” 商品は、必ず加熱調理して下さい。

(3)検証実験
  ア 検証要領
N社製の シーフードミックス(”要加熱” 商品)を3種類の方法で解凍し、解凍直後の具材の状況、加熱後の具材の状況を比較検証しました。その3種類の解凍方法とは、次のとおりです。
  ① 何も添加せず、冷蔵庫内でそのまま解凍(6時間) 
  ② 氷温の「塩水(約3%)」に浸水して解凍(20分)
  ③ 氷温の「塩+重曹水(約3%)」に浸水して解凍(20分)

『解凍方法の相違が解凍状態にどのような差異を生ずるか』を検することが目的なので、加熱手法が実験に別の影響を与えないように、加熱方法については “焼き” 、”茹で” ではなく、敢えて “蒸し”(電子レンジ)にしました。

【解凍最終段階】

シーフードミックスを3グループ(各グループ 60g)に分け、それぞれを別方法で解凍して具材の状況を比較検証しました。
【冷蔵庫内解凍】
冷蔵庫内(温度4℃)で何も加えず6時間
【塩水解凍】
3%食塩水を加えて20分
【重水塩水解凍】
3%食塩重曹水を加えて20分

【解凍後の具材比較】

【低温解凍(冷蔵庫内解凍)】
 一般的に美味しいとされている解凍法ですが、塩水解凍と比べると解凍結果は劣ります。

【塩水解凍】
 多くの方が “最強・簡単” と紹介されている解凍法です。

【重曹塩水解凍】
 海老の解凍方法として、一部の専門家(プロ)が紹介されている解凍法です。
 重曹を添加することで、”プリプリ” かつ “柔らか” 効果が格段にアップしますが、反面、浸透圧の影響により具材の塩味が上がってしまいます。
 つまり、調理過程で塩分カットできるレシピなら、重曹塩水解凍がベストです。
 調理過程での塩分カットが出来ないレシピなら、塩水解凍にすべきです。

2 ”海鮮種別(個体)”の場合

(1)冷凍帆立(ほたて)

 【まやつか流】
ボウルに”冷凍帆立” と同量の氷を入れ、氷250gにつき塩小さじ1を振りかけた後、”冷凍帆立” を加えラップをかけ、常温で3~5時間ほど置きます。

【参考引用元原文】
時間と少しの手間がかかりますが、一番おすすめの解凍方法です。
ボールに解凍するほたてと同じくらいの量の氷を入れて、塩を小さじ1杯(氷250gにつき)氷にふりかけます。 ボールの中に、凍った状態のほたて貝柱をそのまま入れてください。ラップをかけ、常温で3時間~5時間ほど置き解凍してください。時間が経つと氷が解け、水に浸っていきますがそのままで大丈夫です。

参考引用元:北海道ぎょれん「ホタテの解凍方法」

(2)冷凍海老(えび)

 【まやつか流】
氷水(0℃)250mlにつき、塩小さじ1.5、重曹小さじ1.5を加えて溶かし、解凍液を作ります。
ボウル等に “冷凍海老” を入れ、これが浸る量の解凍液(前述)を加えて30分ほど置きます。
(十数年前に、京都の小料理店の店主から教わった方法です。 ” 冷水500ccに、塩大さじ1、重曹大さじ1で30分 “)

(3)冷凍烏賊(いか)

 【まやつか流】
氷水(0℃)を用意し、氷水250mlにつき塩小さじ1.5を加えて溶かし、解凍液を作ります。
ボウルに “冷凍烏賊” を入れ、これが浸る量の解凍液(前述)を加えて10分ほど置きます。

【参考引用元原文】
冷凍室から冷蔵室へ移しておく方法や、ビニール袋に入れたまま水に浸しながら水道水を軽く出し続ける解凍方法もあります。
冷凍イカの場合、水に直接入れると10分ほどで身がやわらかくなります。なお、包丁のあたりが少しかたい程度の半解凍の状態の方が切りやすく、皮も容易にむけます。

参考引用元:全国いか釣り漁業協会「解凍方法」

(4)冷凍蛸(たこ)

 【まやつか流】
ボウルに “冷凍蛸” を入れ、水道水(チョロチョロ程度)での流水解凍が安全(自然解凍では、蛸から出るドリップ中に食中毒菌が繁殖する危険性あり)です。

【参考引用元原文】
前職板前ということもありタコの扱いには多少の自信があります。今回は、そんなタコの正しい冷凍保存のやり方とタコの美味しさを損なわないスピード解凍法についてご紹介させていただきます。(中略)
加熱調理しない場合の茹でタコの解凍方法についてご紹介します。代表的な調理はタコブツ、タコ刺し、酢の物などですが、この場合は流水解凍が最も美味しさを損なわないでスピード解凍できる方法です。自然解凍でももちろん良いですが、自然解凍の場合は解凍後にタコから出てくる水分(ドリップ)を必ずしっかり洗い流してから使用しましょう。(食中毒菌はドリップに繁殖する為)

参考引用元:タケチヨ釣りブログ

(5)冷凍蜊(あさり)

【まやつか流/殻付の場合】
殻付の冷凍蜊は、絶対に自然解凍しません。解凍に時間を掛けると貝柱の細胞が壊れ、加熱しても殻が開きません。
凍ったまま一気に強火で加熱調理すると、冷凍蜊でも、きちんと殻が開き、美味しく調理できます。

【参考引用元原文】
殻のまま冷凍したあさりは、絶対に自然解凍はしないで下さい。冷凍したあさりをゆっくりと解凍すると、貝柱の細胞が壊れてしまうため、加熱をしても殻が開かなくなってしまいます(中略)。
高温で一気に調理することで、殻がしっかりと開き、身もぷりぷりの状態で食べることができます。

参考引用元:春夏秋凍 shunkashutou.com 栄養UPの冷凍保存方法】あさりの冷凍・解凍方法とレシピ

【まやつか流/剥き身の場合】
剥き身の冷凍蜊は、冷蔵庫内で自然解凍するか、電子レンジで解凍します。常温の自然解凍は蜊が傷む可能性があるので避けます。殻付同様、凍った状態のままで加熱調理もできます。

【参考引用元原文】
むき身のあさりは、冷蔵庫で自然解凍または、電子レンジなどでも解凍できます。ただし、常温での自然解凍は傷む可能性があるのでNG。冷蔵庫で解凍をおすすめします。
また、料理によっては凍ったまま調理することもできます!

参考引用元:小学館 HugKum「あさりは冷凍したほうが美味しくなる!冷凍方法や解凍のコツ」

【参考】

メーカー別「シーフードミックス」比較

参考:mybest「魚介加工品おすすめ情報サービス」
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貝の砂抜き

  • Lesson 004

汽水域に生息する貝/蜆(しじみ)等

  • 準備するもの

バット    1枚
穴あきバット 1枚(浮かせ足付き)
塩水     必要量(バット容量と貝の量によります。濃度は次のとおりです。)
【塩分濃度 約1.2wt% : 水500ccに塩小さじ1(6g)】
※ バットと穴あきバットが無ければ、ボウルの内側にザルを重ねるか、洗面器等の中に穴あきの落とし蓋を置いても良いと思います。

  • 砂の抜き方

バットの中に、浮かせ足付きの穴あきバットを重ね、貝(今回は蜆です)を入れ、塩水(約1.2wt%:海水の約1/3の塩分濃度)を加えます。
貝が砂を出しやすいよう遮光するため、バットの上に蓋をして約3時間ほど待ちます(蓋は、より大きなバットを裏返して重ねるか、俎板、新聞紙でも良いです)。

約3時間後、貝を取り出し穴あきバットを除くと、結構な砂を吐いていました。
この後、貝を擦り合わせるようにして汚れを洗い流し、調理の下処理は完成です。

海水域に生息する貝/蜊(あさり)等

  • 準備するもの

バット    1枚
バット網   1枚
塩水     必要量(バット容量と貝の量によります。濃度は次のとおりです。)
【塩分濃度 約3.5wt% : 水500ccに塩大さじ1(18g)】
※ バットとバット網が無ければ、ボウルの内側にザルを重ねるか、洗面器等の中に穴あきの落とし蓋を置いても良いと思います。

  • 砂の抜き方

バットの中に、バット網を重ね、貝(今回は蜊です)を入れ、塩水(約3.5wt%:海水と同等の塩分濃度)を加えます。
貝が砂を出しやすいよう遮光するため、バットの上に蓋をして約3時間ほど待ちます(蓋は、より大きなバットを裏返して重ねるか、俎板、新聞紙でも良いです)。

鮮魚店で既に大分潮を吹いていましたが、それでも自宅で砂抜きをすると約3時間後には、結構な砂を吐いていました。
この後、貝を擦り合わせるようにして汚れを洗い流し、調理の下処理は完成です。

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除菌泡スプレー液の自作

  • Knowledge 001
調理と言えば、衛生管理が最も大事ですね。
今回は、調理道具の除菌に有効な ”除菌泡スプレー” の溶液を自作します。
自作することで、市販品(付替品)を購入する 1/6 の経費で済み、大変経済的です。

除菌泡スプレー液の自作法

① 400ml以上の容量の計量カップ(ビーカー)に、水360mlを入れます。
② ①に、市販の塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム溶液)20mlを足します。
③ ②に、市販の台所用洗剤(界面活性剤)20mlを足します。
④ ③を攪拌して塩素系除菌泡スプレー液(400ml)の完成です。

完成試験

シンクにおいて完成品を試験したところ、泡立ちは正規品とほぼ同等でした。
次亜塩素酸ナトリウムの濃度は正規品より濃いめの 0.2%(2000ppm)程度になるよう調整してあります。
ただし、塩素系漂白剤原液の経年劣化により、次亜塩素酸ナトリウムの濃度は低下していきますので、使用する塩素系漂白剤は、出来るだけ新しいもの(購入後3年以内)にした方が良いと思います。

検証「経済的節約度」